冬のダイヤモンドから新しい生命の息吹が |
冬の代表的星座オリオン座が次の目的地だ。着くまでに狩人オリオンの神話を観てみよう。冬のダイヤモンドの一角一等星2個と二等星3個も持つ、形の整った星座だ。この星座が東の空に昇る頃は満天に冬の星座が夜空をにぎわし、夜の街にはクリスマスを待ち焦がれるように、あちらこちらでイルミネーションが瞬きます。
ギリシャのボイオティヤと言うところに、体の大きい美しい青年狩人がいました、これがオリオンです。月の女神アルテミスが、オリオンの腕前を認め自分の部下にし、地中海のクレタ島に連れて行きました。後にアルテミスはオリオンに求婚されますが、身分の違うオリオンと結婚するのがいやで、大地の女神ガイアにたのみ、サソリの毒をもって殺しました。また曙の女神エオス(オーロラ)がオリオンに恋したのを女神アルテミスが妬んでサソリを送り、殺したとも言われています。ゼウスは美しい狩人オリオンを惜しんで星座にあげました。星座になっても蠍座が東の空に昇る頃、今でもオリオンは西の空を逃げるように沈んで行きます。 |
そうこうしているうち、1300光年彼方のオリオン座大星雲が見えてきた。ここの暗黒星雲の中心では今巨大なガス雲(星間分子雲)がすごい勢いで渦を巻き収縮している、いくつもの新しい星が今まさに生まれ出ようと、星形成のさまざまな段階の7万個もの星達がゆりかごに揺られています。
星雲の中にはトラペジウム(数十万年前に生まれた)と言われる青白く輝く、表面温度が4万度の四重星があり強い紫外線を出し、周りの直径5光年もある星雲を高温プラズマ化し、このような素晴らしい輝きを導きだしています。散光星雲の中でも発光星雲と言われる由縁でもあります。
また、星雲や天の川の明るく見える場所の手前に星間ガスがあるため、その形がシルエットになって見える暗黒星雲と呼ばれる不気味な黒い星雲がある、代表的なものにオリオン座の馬頭星雲やへび座のワシ星雲M16(7000光年)があります。この暗黒星雲こそが原始星が誕生する母なる宇宙(分子雲)です。M42の背後には100光年以上もある巨大な暗黒の世界があり、太陽1万個分の星の材料となるチリやガスの分子雲が息付いています。
またこのオリオン領域を大きく囲むようにバーナードループと呼ばれる超新星残骸(星雲)があり、数百万年前にいくつかの星がその一生を終え爆発した名残を残しています、そしてこの超新星爆発こそが、新しい星の誕生を育んでいるオリオン領域の正体なのです。
では、星の一生はどの位?
私達の生命の源、太陽は全恒星中で平均的な星なそうです、その太陽の寿命は100億年と言われています、太陽系が出来て46億年と言いますからあと50億年は今のままで輝き続けるでしょう。太陽質量の2倍の星の寿命は10億年、5倍の星は1億年、そして20倍の星はなんと数千万年しか寿命がないのです。逆に1/2倍の星は1000億年も輝き続けることができるのです。
このように星は、最初にどれだけのガスを集めて星になったかで寿命が決まってしまいます、オリオン領域では大質量星が生まれ、そして死に、それを幾世代も繰り返したと思われています。
今、私達が見上げる夜空の星の半分は、生まれ変わった星と考えて眺めると、宇宙の神秘が伝わってきます。
ランナウェイ・スター
200万年前、オリオン領域に、連星をなしていた星の一方が爆発し、弾き飛ばされたその星がランナウェイ・スターと呼ばれ、オリオン領域から高速で飛び出しているのが3個発見されているそうです。このような事実からも、オリオン領域は、今まさに大質量星が輪廻転生を繰り返している場所であることが明らかになってきたのです。
わし星雲に潜む謎?もう謎でもないが! 右下の写真を観てください。背後にある生まれたてのいくつもの星の強い紫外線を受けて、シルエットになって浮かびあがった3本の星間ガスとチリの柱(写真の中央部)、長いので10兆km(約1光年)もある。そしてこの柱の先端には、突き出したいくつものガスの塊(グロビュールと呼ばれる)がある、塊と言ってもそれぞれ100億kmもあり太陽系より大きい、この塊こそがまさに星の卵なのです。これから何千万年いや何万年後には、廻りのガスを吹き払いいくつもの星が夜空に輝きます。 |
散 光 星 雲 ・ 暗 黒 星 雲 | ||
オリオン座大星雲M42上がM43 | 馬頭星雲、IC434散光星雲 | ワシ星雲 M16(NGC6611) |
距離1300光年 | 距離1000光年、1100光年 | 距離7000光年 |
拡大します | 拡大します | 拡大します |
田村氏撮影 詳細情報はこちら | 田村氏撮影 詳細情報はこちら | 田村氏撮影 詳細情報はこちら |
このオリオン座付近にはウルトラマンの生まれ故郷M78があり、また冬の正三角形を形造るベテルギウスとプロキオンに挟まれた、いっかくじゅう座には大輪のバラの花が咲いています、80光年も広がる星雲の中心では、およそ70万年前に生まれた表面温度2万度の星達が、強烈に星風を吹きこの美しい星雲を作り出しています。
まさに、バラ星雲では、オリオン大星雲と同じように今新しい星が誕生しています。一角獣の神話も面白い。
ウルトラの星M78についての逸話をひとつご紹介しましよう。
乙女座銀河団と呼ばれる、銀河が多数集まった一角(Mナンバーが付いているものだけで14個もある)の中心にM87と言う宇宙ジェットを発し、強いX線、電波を放つ異様な楕円銀河があります、今はブラックホールの存在も予想されています。ウルトラマンの(制作監督の円谷英二氏)原作では、生まれ故郷はこのM87になっていました。ところが台本の印刷でm87がM78になってしまったそうです、そう言われてみるとM87の方がずっと超人間的なウルトラマンが生まれそうな神秘的な天体です。それにしてもM78は思わぬところで名前を知られることになりました。
今、私達が観る夜空に輝く、動物や英雄や美女達に見たてられた星座は、実は偶然に同じ視線方向に見える星達を線で結び、その形に名前を付けたものです、言ってみれば生まれも育ちも違う赤の他人(星達)同士でつくる星座です。ところがこのオリオン星座を形作る(トラペジウムを含む)星々は、100万年前M42で生まれた、同じ母(星間分子雲)を持つ兄弟星達でオリオンアソシエーションと呼ばれる同じ空間運動をしている若い星群です。
オリオン座の一等星ベテルギウスは、太陽の700倍以上にも膨れ上がった赤色巨星で、もしこの星が太陽の位置にあったら、地球は勿論、火星、木星までもが呑み込まれる程大きいと言われています。蠍座の一等星アンタレスは太陽の230倍、変光星として知られるくじら座のミラは440倍の赤色巨星です。これら赤色超巨星達は明日にでも超新星爆発を起こすかもしれません、宇宙時間で明日とは、1年先か、1000年先か、数万年先かは、あてにならないがやっぱり明日かも知れないのです。
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