宇宙誕生初期の星、球状星団
栗田氏 | 田村氏 | 沼尻氏 |
次の目標は、我々の太陽系がまだ誕生 (辞書)する前の星々を訪ねてみます、100億年とも150億年前とも言われる宇宙の誕生初期に生まれた天体、ヘルクレス座の球状星団M13(2万2000光年)だ、ギリシャ神話でも英雄ヘラクレスが描かれ秋の代表的星座でもあります。ここは若い星々の集団であった散開星団の数百個に対し、数万から百万個の年老いた星々の大集団です。球状星団には薄いベールの散光星雲をまとっているものはない、星間ガスはとっくの昔に宇宙の彼方に散って行ったのでしょう、
球状星団は銀河系の中心(直径3000光年のバルジと呼ばれる)に対し丸くハロー(直径20万光年で銀河系を球状に取り囲んでいる)と呼ばれている部分に存在します、大きさも百光年を超すものもあります、現在160個も発見されています。
右下の二重星団は、ペルセウス座の散開星団です、星の密集度を比較して観てください、空間的大きさは、散開星団ではせいぜい二,三十光年ですが球状星団では数百光年もありますが密集度でみると、散開星団の数百〜千倍もあります。すなわち星と星の距離は非常に近く、光速で数日位に接近してるものと思われています。ちなみに私達の太陽の隣の星は4.3光年も離れています。
そしてその星々の大きさはいずれも太陽と同じくらいか、それより小さい星です、大きな星は寿命が短いからとっくに死んでしまったのかもしれない?なら輪廻転生が繰り返され新しい星が生まれているのか?いやそんな様子は無い?星が誕生するには過酷な世界なのだろうか?元々小さい星だけの集団なのだろうか?
また何故このような球状星団が出来たのか?何故銀河の円盤と違う運動をしているのか?等詳しい実態は解明されていないようです。
下の写真M4は地球に最も近い球状星団で7000光年で大きさは50光年にもおよび、年老いた10万個の星達で構成される、ハッブル宇宙望遠鏡は、この星団の一部0.6光年程を拡大撮影に成功し、そこには多数の低温の赤色巨星や白色わい星を発見しています。M4にはこの白色わい星が4万個も存在すると推定されています。
予備知識を得たところで以下の、代表的な球状星団を訪れてみます。
M13ヘルクレス座球状星団 (NGC6205) |
M4蠍座の球状星団 (NGC6121) |
M5へび座の球状星団 (NGC5904) |
距離 2万2千光年 | 距離 7千光年 | 距離 2万7千光年 |
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M2水瓶座球状星団
(NGC7089) |
M22射手座の球状星団 (NGC6656) |
ペルセウス座二重星団(hχ) (NGC869)(NGC884) |
距離 5万2千光年 | 距離 1万光年 | 距離 7300光年 |
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球状星団は何故銀河系の化石といわれるのか? 150億年前宇宙ではビッグバンと言われる全ての始まりの時、大爆発により水素、ヘリウム、リチウム等軽い元素が造られ、時の流れの中で(何億年と気の遠くなる時間だが)、星間ガスが収縮し星が誕生します、そして炭素、酸素,鉄等重い元素は、星の中で合成されできると言われています。この星が最期を迎え、超新星爆発して宇宙空間に重元素を撒き散らします。100億年もの長い間、何世代か星の輪廻転生が繰り返され、星間ガスは、だんだん重元素を多く含んだ汚れたガス雲になりました。 こんな星間ガス雲の中で46億年前、多くの重元素を含んだ何世代目かの星、太陽が誕生しました。球状星団が100億年以上も前の年老いた星と言われるのは、重元素が極めて少なく、宇宙誕生初期の、奇麗な星間ガス雲で出来た星の集団であることが解かります。そして銀河系の輪廻転生を100億年以上もただ見つめてきた生証人が球状星団です。 |
とは言うものの、ケンタウルス座にある620光年の直径に数百万個の星が密集するオメガ星団では、重元素の少ない種族と多い種族が存在することが確認されています。これは新しい世代の星の集団が重力の強いオメガ星団に飲み込まれたものと思われています。 地球上のサバンナと同じように星の世界でも弱肉強食の原理が営まれているのですね。 このように宇宙の進化を見守ってきたと思われていた球状星団も最近、銀河面を横切るような軌道を持ってるものは銀河の潮汐力によって前後に大きく引き伸ばされた球状星団が見つかったと報告されています、へび座の球状星団地球から75,000光年の「パロマー5」がそうです、その星の流れは13,000光年にも伸びています、数億年後には銀河円盤に落ち込むと予想されています。 また、ハッブル宇宙望遠鏡は、楕円銀河NGC4365に星の色から数十億年しか経っていない球状星団を発見しています、またまた若い球状星団の存在は銀河の誕生と進化に新たの謎を投げかけています。 |
いよいよ宇宙船HaleーBopp艦隊は、我が銀河系を脱出し、深宇宙を目指して加速します。あのアインシュタインも自ら提案した理論で宇宙が膨張するという解には納得せず、悩み続けたと言いますが、皮肉にもアインシュタイン理論で今膨張する宇宙が注目されている。 そして艦隊の行く手には、空間を歪めた幾つもの暗黒の怪物ブラックホールが、我艦隊を待ち構えているかもしれない、突然、ホワイトホールから誰も観たことも無い四次元の世界が眼の前に広がっているかもしれません。 |