1801年イタリアのシシリー島でピアッツィが小天体を発見しました、これが最初の小惑星で直径910km、シシリー島の女神ケレス(ギリシャ神話では母なる神・豊穣の女神デメテル)と名付けられた。その後、火星と木星の軌道の間にぞくぞくと小惑星が発見され、小惑星帯と言われています、これら小惑星や土星、木星等太陽系惑星のたくさんの衛星に名前が付けられています。
最初はギリシャ神話に登場する神々や英雄の名前が付けられましたが、小惑星は発見者に命名権があり色々な名前が付いています、面白いのに、イタリア、日本、ウガンダ、東京、日光、富士等の国名や地名、フィラゴリアはナイトクラブ、ベィテナは誰かの奥さんの名前なそうです、日本でも天文趣味人の奥さんの名を内助の功に感謝して付けられています。ごく最近では坂本九さんの名前や向井千秋宇宙飛行士にちなんで、館林、天女等の名前が付けられました。
宇宙を楽しむ時、星座や一等星の名前はもちろん、銀河や小惑星・衛星等の天体の名前とその名前の由来を知っているとなかなか面白いものです。神話から宇宙へと想いを巡らせてお楽しみ下さい。
まず、小惑星帯とは別のグループですが木星軌道と同じラグランジュ点にトロヤ群と呼ばれる小惑星の一群があります、ここにはギリシャ神話に出てくるトロイ戦争のギリシャ軍、トロイ軍の勇志の名前が付けられた小惑星がたくさんありますので、トロイ戦争にまつわる神話を・・・・・・・・。
トロイ戦争
エギナ島の王ペレウスが海の女神テティスとの結婚式に、不和の女神エリスを招待しなかったので、怒ったエリスは、最も美しい者に送ると書いた金のリンゴを宴席に投げ込みました。ペレウスはアルゴー船の遠征にも加わった勇士だけに、この結婚式は神々をはじめギリシャ中の英雄が招待されていました、当然一番美しい者と自負する女神のヘラ、アテナ、アフロディテが出席していました。投げ込まれたリンゴのため三人の間に争いが起り収拾が付かなくなりました、そこで天の支配者ゼウスは「三人のうちで誰が一番美しいかトロイ王の息子パリスに裁いてもらえ」と言いました、「パリスの審判」と呼ばれる有名な神話でトロイ戦争のもとになります。
パリス王子の前に出向いた三人は、それぞれに私を指名するようにと、ゼウスの妻で結婚の女神ヘラは世界の支配権を、戦いの女神アテナは戦での勝利を、美と愛の女神アフロディテは美しい妻を約束し迫ります、パリスが心を動かされ金のリンゴを与えたのは美の女神アフロディテです。そしてパリスに与えられる世界一の美女はスパルタ王メネラオスの妃ヘレネです。
やがてパリスがスパルタの王宮を訪ねた折り、王のクレタ島出張の留守を見計らいヘレネを口説きトロイに連れ帰ったのです、全てアフロディテの企てです。妻の不実を知ったスパルタ王メネラオスは全ギリシャの英雄を集めトロイへの復讐の軍をお越します。これが10年にも及んだトロイ戦争の発端です。
ギリシャ軍の総大将は、メネラオスの兄アガメムノン・ペレウスの息子アキレウス・知恵者のオディッセウス・アイアス・ネストルなどそうそうたるメンバーです、当然神は結婚の女神ヘラと戦いの女神アテナが付いた。
一方のトロイ軍はプリアモス王の長男ヘクトル・アイネイアス等勇士は揃っています、更に美と愛の女神アフロディテ、太陽神アポロンが付いています。
しかし戦争の不条理な殺戮、略奪行為はオリンポスの神々は許すことはありませんでした、そのためトロイ、ギリシャの両軍に悲劇が次々起きます、このたくさんの悲劇を神話は延々と語り継いでいるのです。トロイ戦争は史実が神話化された物語です。
1999年、エーゲ海の東と西のトルコ、ギリシャで相次いで大地震が発生し、多数の人が死に、また 瓦礫の下に生き埋めになりました。でも両国はお互いに、いの一番に救援隊を差し向けました。 遠い古代に起こした過ちを正し、ギリシャ神話を通し社会を考えることを、彼らは知っています。 インドネシアの東ティモールの独立による内戦を、見て見ぬふりしている日本政府より素晴らしいです。 |
トロイ戦争に登場するキャラクターについて、それぞれの神話がたくさんありますので、ひとつひとつ紹介していきましょう。
ヘレネ(Helene)
ヘレネとポルックスの二人は、スパルタ王ティンダリオスの妃レダと大神ゼウスとの子とされています。実はこの時レダはティンダリオスの子も宿していたので、生まれたのは四人でした、ゼウスの子として不死の生命を授けられたのは、弟ボルックスとトロイ戦争の原因になった美女ヘレナ、そして兄カストルとトロイ戦争の総大将アガメムノンの妻になったクリュタイムネストラは死すべき人間の子として生まれたのです。
ヘレネが成人する頃、ギリシャ中の武将が先を争って求婚するようになりました、ヘレネがスパルタの王子メネラオスを夫として選んでから、求婚するために先を争って集まったギリシャ中の武将は、イタケ島のオデュッセウスの調停でこの先ヘレネの身を守るための同盟を結んだとのことです。そして予想もしなかったトロイ戦争が勃発します、彼らがヘレネ奪還のギリシャ軍の勇志たちです。
パリス(Paris)
トロイのプリアモス王には、多くの子供がいます、妃ヘカベが子供を生んだ時、災いの元になるという神託が出たため子供をイダ山中に捨てたのですが、子供は羊飼いに拾われ養育され、この子が後のパリスです。
パリスは、自分の身分を解からないうちに三人の女神の来訪を受けます、そして愛と美の女神アフロディテに金のリンゴを与えたのはトロイ戦争のところで書いた通りです。パリスが羊飼いから王子になったのは、プリアモスの都に出た時、姉のカッサンドラが弟であると認めたからと言われます。こうしてヘレネを連れてトロイに帰ったパリスは、ヘレネを正式な妻として認めさせました。
ギリシャ側から再三ヘレネの返還要求がありますが、トロイ側が拒否します、いよいよトロイ戦争の始まりです。メネラオスとパリスの一騎打ちで始まりましたが、士気に優るメネラオスが優勢なのは一目瞭然、ここに美の女神アフロディテーが介入しパリスを助けて連れ戻します。
アガメムノン(Agamemnon)
トロイ戦争のギリシャ軍の総大将は名門ペロプス家の子孫でミュケナイ国の王アガメムノンです。ヘレネ奪還のためアウルスの港に1000艘以上の船が集結しています、しかし10万の兵の志気は挙がれど無風状態が何日も続き船を出すことが出来ません。占いによるとアガメムノンが狩りの自慢をしたばっかりに月の女神アルテミスの怒りを受けているのだと言う、解くためには長女のイフィゲネイアを犠牲に捧げるようにと出ました。10万の兵を統率するためには、やむおえず娘をアキレウスと結婚させると偽りアウリスに呼び殺したのです、これが後々大変な悲劇を生むことになりますが・・・・、とりあえず風が吹き出し全軍トロイに向け出港することが出来、総大将として威厳を持って指揮をを取ることができました。神話によると彼は、立派な指揮官ではあったが傲慢なところもあり、しばしば勇士アキレウスや弟メネラオスと意見が衝突することがありました。戦争は10年もの長い戦いになりギリシャ軍の勝利で無事故郷に凱旋してきました。この戦場の勇士が凱旋した当日に妻のクリュタイムネストラに刺し殺されます。呪われた一家の悲劇的な一人です。一家の悲劇はまだまだ・・・・・・・。
ペロプスの父は、地獄に落され永遠の責苦にあっているタンタロスです。アガメムノンの子供にイフィゲネイア、エレクトラ、オレステス
アキレウス(Achileus)
トロイ戦争は、アキレウスが参戦しないと勝てないという神託と参戦するとすると死ぬという二つの神託が出ていました。アキレウスは、テッサリアの王ペレウスと海の女神テティスの子で半人半馬のケイロンに養育され、トロイ戦争が始まった時は、スキュロス島のリュコメデス王のところで女装して隠れていたといいます、これを探し当てたのが知恵者のオデュッセウスです。結局はアキレウスも参戦することになりました。アキレウスはギリシャ軍きっての勇士です、獅子奮迅の働きをします、ところが傲慢な総大将アガメムノンと戦利品の愛妾プリセイスの取り合いで以後戦闘を拒否し続けます。戦局は一転トロイ軍に有利に運びます。戦局を案じたアキレウスの親友パトロクロスが武具を借りて、アキレウスに変装し戦場に踊り出ました。作戦はまんまと成功し、トロイ軍は一気に後退していきますがトロイ軍にも名の知れた勇士で大将ヘクトルがいます、パトロクロスはヘクトルに討たれてしまいます。親友の仇を討つべくアキレウスが再び立ち上がります、この時の武具は新しく鍛冶の神ヘパイストスに作らせたと言われています。逃げるヘクトルを追ってトロイの城壁を三度廻ったと言います、さしものヘクトルも覚悟を決め一騎討ち挑み、激しい決闘の末ヘクトルは討たれ城兵の前で引き回されました。しかしアキレウス自信も太陽神アポロンに導かれたパリスの放った矢に踵を射抜かれ戦場に消えます。踵が弱点だった話はまた何処かで・・・・・。
アキレウスはゼウスとエギナの間に生まれたアイアコスを祖父に持ちます。
ヘクトル(Hektor)
ヘクトルはトロイ王プリアモスの王子で、トロイ戦争の火種となったパリスの兄です、彼はトロイ軍きっての勇士であり常識ある紳士だったようです。パレスがヘレネを連れ帰った時もギリシャに返すように言ったのがヘクトルです。トロイ戦争が始まり、総大将としての指揮ぶりは素晴らしく、ギリシャ軍をしばしば苦しめました、ギリシャ軍の勇志のひとり巨漢のアイアスと戦った時は激戦の末引き分け、更にアキレウスの親友パトロクロスを討ち取り武具を剥ぎ取り自信の身につけ暴れ廻りました、これがギリシャ第一の勇士アキレウスを再び戦場へと呼び込むことになります、城内からは父王プリアモス、母ヘカベの呼ぶ声がしますが、ヘクトルは城内に逃げ込むことなく正々堂々とアキレウスとの一騎打ちに挑みます。しかし相手がギリシャ第一の勇志アキレウスではどうしようもありません、ついに討ち取られてしまい、揚げ句の果て城兵の前で何日も引き回されまが、愛と美の女神アフロディテの加護を受けたヘクトルは屍は痛むことなく、城内の妻アンドロマケのもとへ送り届けられたと言います。
アイネイアス(Aineias)
アイネイアスは、トロイ王家一族のアンキセスを父に持ち、母は愛と美の女神アフロディテです。トロイ軍の中ではヘクトルに次ぐ勇士として知られています。
ヘクトルを討たれたトロイ軍は、戦意が落ち城門を閉め篭城作戦にでます、攻めあぐねたギリシャ軍は、オデュッセウスを中心にある策略を考えます、トロイの守り神知恵の女神アテナの木像パラディオンを盗み出し大きな木馬をつくり、中に50人の屈強な勇士を偲ばせたままで、陣地を焼き払い引き上げる偽装工作をしたのです。トロイ軍はギリシャ軍が立ち去ったと想い喜び勇み木馬を戦利品として城内に運び込みその夜、大祝勝会をしてしまったのです。城兵が酔いつぶれ眠りこけた頃、木馬から出た50人の勇士は城内から城門を開け引き上げたはずのギリシャ軍を導き入れ無防備のトロイ軍に襲い掛かります、成す術のないトロイ軍は屍の山を築くだけでした。老王プリアモスは殺され、ヘクトルの幼子アステュアナプスは城壁から投げ落とされ、妻のアンドロマケは自ら身を投じ死んでしまいました。
この時、木馬を城内に運び込むのを、ギリシャ軍の策略だとして真っ先に反対したのがプリアモス王の娘カッサンドラでした、何故信じて貰えなかったんだろう・・・・・・・。予言者カッサンドラの悲しい運命の神話があるのです。
一方、アイネイアスは最期までギリシャ軍と戦おうとしますが、愛と美の女神アフロディテとヘクトルの亡霊に諭され父アンキセスと息子を連れイダ山に逃れ、そこで船を造り独自の国を作るため出帆したのです、途中カルタゴの女王ティドの歓待を受け滞在しますが、伝令神ヘルメスがゼウス神の使いで「イタリアに向け出発せよ!」の命令には逆らえません密かにカルタゴを出発します。こうしてアイネイアスはイタリアに着き戦いを繰り返しながらも、遂にはラティニの王女ラウィニアと結婚しイタリアの建国の祖となったのです。
ここにも、永遠の生命を持つ神の子と死なねばならない人間の子の悲しい物語が見え隠れします。
オデュッセウス(Odysseus)
イタケ島の領主オデュッセウスは、トロイ戦争の最大のヒーローのひとりです。またギリシャの美女ヘレネに求婚したひとりでもあり、この時多くの求婚者にヘレネを守るための同盟を結ぶよう提案したのもオデュッセウスです。さて成り行きで同盟を結んだはいいが本当にヘレネ奪還の戦争が起きるとは考えてもいなかったのも当然でしょう。いざ戦争が始まると出陣したくないので気が触れた様に装い、畑に塩を撒いていたといいます、しかし迎えに来た武将パラメデスに見破られ参戦したと伝えられています。
説得力、行動力、知謀に長けた彼はギリシャ軍の総大将アガメムノンの右腕となりおおいに活躍します、やはり参戦を嫌がっていたアキレウスを説得、弓の名人ピロクテテスを説得、トロイ陥落の「木馬」のアイデアもオデュッセウスの発案です。しかしトロイ落城の立役者も戦後10年もの間あちこちをさまよい苦難の帰途となったのです、海の神ポセイドンの怒りにふれ嵐に襲われたり・・・・・、美女カリプソーの島に漂着したり・・・・・、トラキヤの狂暴なキコーン人と戦ったり・・・・・等々、ギリシャ軍の理性を失った殺戮を神が許してくれなかったのかもしれません。
ともあれ、10年間もさすらい故郷のイタカ島に着いたオデュッセウスのもとに知恵の女神アテナが現れ、「妻のペネロペに100人以上もの求婚者が押し寄せ困り果てている」と告げます、それもそのはず戦後10年経っても帰国しないオデュッセウスは死んだと思われ、王位を狙う求婚者達が押し寄せたのです。ちょうどその頃城では、困り果てたペネロペは「この弓をひいた者を夫にしましょう」とオデュッセウスの強弓を持ちだし荒くれ求婚者達に言いました、しかし誰ひとり引ける者はいません、するとひとりの乞食姿の者が立ち上がり、弓を引いて見事的を射抜いたのです、乞食姿に身を変えたオデュッセウスです。こうして生に対する執念を持ち続けたオデュッセウスは希望を捨てなかったペネロペとイタカ島の王として幸福な生涯を送ったと伝えられています。
アルゴー船の遠征と魔女メディア
イアソンは、ギリシャのイオルコスの王子で老父の王位を継ぐはずであったが叔父のペリアスの陰謀でイアソンは山に捨てられます。幸いにもケンタウルス族のケイロンに拾われ、逞しく成人に成長します、成人したイアソンはイオルコスに帰り、王権を返すよう迫りますが、叔父ペリアスに「コルキスの金羊毛を持ってきたら王位を渡す」と難題を吹きかけられます。
イアソンは船大工のアルゴスに船を造らせ、ギリシャ中に金羊毛を一緒に取りに行く勇士を募ったのです。ヘルクレス、テセウス、カストルとポルックスの兄弟、オルフェウス、女猟師のアタランタ、メレアグロス等いずれ劣らぬ勇士が50人が馳せ参じた。
こうして、名の知れた勇士50人を乗せたアルゴー船は港を出帆しました。途中不思議な出来事や障害と遭遇しながらも目的のコルキスの町に着きました。ここでまた金羊毛を手に入れるためには大きな難題が起き、イアソンは困り果ててしまいますが、幸か不幸かコルキス王アイエーテスの娘メディアがイアソンに一目惚れしたのです、「私をギリシャに連れて帰り、あなたの妻にしてくれるなら、金羊毛を手に入れる方法を教えましょう」と持ち掛けたのです。彼女は魔法を心得ています、父と祖国を裏切りイアソンのために金羊毛を盗む手伝いをしたのです。
魔女メディアの手助けで金羊毛を手に入れたイアソン達は、急ぎ船を出したのですが、間もなくアイエーテス王の知るところとなり快速船で追いかけられます、この時またメディアは非情なことをします、弟のアプシュルトを父の前で、刀で胸を貫き海に放り込んだのです、このため王は息子の屍を拾うためアルゴー船を追いかけるのを諦めたのです。魔女メディアと呼ばれる由縁でしょうか、無事イオルコスに帰ったイアソンに王位を返したがらない叔父ペリアスを、ペリアスの娘達を王の若返り方法と偽り、王を殺させてしまいます。その後二人はイオルコスを追われコリントで二人の子供をもうけますが、イアソンがコリント王の一人娘グラウケーと結婚することになると、メディアはグラウケーはおろか自分の子供二人までも殺し逃げ去ったのです。また町を追われたイアソンは各地をさまよい、アルゴー船の引き上げられているイオルコスの浜辺に戻っていたのです。
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