世 界 の 始まりとギリシャの 神 々 達
キリスト教の聖地、イスラエル人の神、正義と愛の神が天地万物を創造したという。神は天地に光を与え、地には動植物を作り、天には太陽、月、星を作り地を照らし、そして自分の姿に似せて人を作り、この世界を6日で完成し、第7日は休息されたと言う。
しかし、ギリシャ人の神は、天地を創造した神でもなく、エジプトの神々のように巨大不動の神でもない、ごく人間的で怒り、争い、愛し、嫉妬もし、兄弟姉妹親子で結婚をし子供をつくったり、また人間との間にも子供がいる。そして強い者が世界を支配し、永遠の生命を持った神々の神話は世紀を超え、現代に生きている。ギリシャ神話は語り継がれながら、土地の民族の伝説や神話を取込み、縦横に広がり壮大な物語となっています。
何故、数千年も前のギリシャ神話が、現代も、私達の心を打つのだろう、人間を作ったプロメテウスがパンドラの箱の底に希望を入れてくれたのが嬉しい、プロメテウスはこうしていつまでも、人間の間に語り継がれることを知っていたのかもしれない、愚かな争いを繰り返しながら、それでも希望を持ちながら生き続ける人間を。本質的な部分では少しも神々の時代から進歩していないことを、古代の人は教えてくれる。いやいや宇宙誕生150億年、太陽系誕生46億年の歴史の中では、人は今誕生したばかりの、産声をあげている赤子のようなものだ。
世界の始まりは、天も地も海も混じりあった塊カオス<混沌>という状態であった、これが万物の始まりである。このカオスから最初に生まれたのが、<大地の女神>ガイアである、ガイアから、エロス<愛の神>、エレボス<暗黒の神>、ウラノス<天の神>、ポントス<海の神>が生まれた。ガイアがウラノスと結婚し、男6人、女6人の子供が生まれました、ティターン<巨神>と呼ばれる神である。他にキクロペと呼ばれる巨神3人、ヘカントケイルと呼ばれる巨神3人も生まれている。
このホームページで扱ったギリシャ神話、伝説の数々は、主に大神ゼウス(ウラノスとガイアの子のクロノスとレアの子)が父クロノスを倒し、オリンポス山を中心に世界を支配した時代から語り継がれた物語であります。
画天ギャラリー ギリシャ神話に登場する神々を、千葉政助氏の絵で観る事ができます。 | |||||
ゼウス | ポセイドン | ハデス | ヘスチア | ヘラ | アレス |
アフロデティ | ヘルメス | ヘパイストス | アルテミス | アポロン | アテナ |
ヘレネ | パリス | アガメムノン | アキレウス | ヘクトル | アイネイアス |
オデュッセウス |
オリンポスの12神 |
●ゼウス
(ユピテル)ゼウスの父クロノスはレアとの間にたくさんの子供が生まれましたが、クロノスは子供を恐れ産まれるとすぐ5人の子供を次々に呑み込んでしまいました、末のゼウスだけは母のレアがクレタ島の山中に隠し育てました。この時の乳母がニンフのアドラステアーともアマルティアとも言われる。成人したゼウスは、ガイアとオケアノスの娘メティス(知恵)の協力で呑み込まれた兄弟姉妹をを吐き出させ、クロノスを倒しオリンポスの支配者となりました。
こうしてゼウスを長とし、ポセイドン、ハデス等を閣僚としてオリンポス山を拠点に世界を統治した。
天の支配者。正義を愛し、嘘を許さず、誓いを破る事を憎んだ。一方で浮気者で幾人もの愛人を持つ。ヨーロッパの語源でもあるエウロパ、おおくま座になったカリスト、牝牛になったイオー等。神木を樫の木とす。●ヘ ラ
(ユノー)ゼウスの実姉で妻であったため、オリンポスでは発言力と存在感は絶大なものがあった。結婚を司る神、嫉妬深い女神でありゼウスの浮気にはあらゆる手で抵抗もしますが、妻の座、妻の自覚を持ち、ゼウスに敬意を払うことで存在感を失うことはありませんでした。
英語読みでのジュノー6月(ジュン)の語源となり、ジューンブライドはこの結婚を司る神ヘラからきています。
牝牛と孔雀がお気に入り。●ポセイドン
(ネプチューン)ゼウスの兄で海の神。激しい気性の持ち主で執念深く、プライドの高い神であり、神話ではゼウスとよく意見が衝突します。オケアノス(ネレイス)の娘アンフィトリテとの間に子供トリトン(海のラッパ手)がいる。従者にプロテウス(海の老人)がいる。またゼウスに負けないくらい女好きです、沢山の愛人をつくりますが子供は全てが気性が荒かったり、怪物が生まれています。例えばオリオン、ペルセウスに退治される怪物メドゥーサです。キオーネ、テューロー、メラニッペ、アロペー等もポセイドンがあちこちで生ませた子供です。 ●ハデス
(プルトン)ゼウスの兄で地下(冥界)の支配者。無口で辛抱強い使者の国の支配者です。
ゼウスと姉デメテルの子の美しいペルセフォネが妻で、唯一積極的に行動したのがペルセフォネを妻にしようとした時だけで、後は時を待ち、全てが死の国に流れ来るのを待ちます。プルトンには「富める者」と言う意味があるそうですが、ハデスは待つ事で富める者になったのです。●ヘスチア
(ヴェスタ)ゼウスの姉妹。いろりの守り神、家庭の保護者とされた。一生清らかな処女として過ごした。神話にはあまり登場しないが、人々には家庭の保護者としてとても崇拝されています。 ●アレス
(マルス)ゼウスとヘラの嫡子であり、戦いの神とされていますがオリンポスでは指導力を発揮していません、争いのある所にアレスがどっちの味方をするかが人々の興味だったようです。アレスの姉妹に不和の女神エリスとエニューオーがいて、人々の間に不和を起こさせその後アレスが暴れ廻るという、典型的なドラ息子のような神です。フォボス、デイモスなどの息子や、後にカドモス(エウロペの兄で、テーバイ建設の祖)の妻となるハルモニアをもうけています。 ●アテナ
(ミネルヴァ)ゼウスの娘で、ゼウスの頭から武装して生まれてきたと言われる。気性の激しい戦いの女神である一方、頭脳明晰で知恵と理性の女神で市民生活の保護者であり、農業の守り神でもあります。彼女は一生を娘で通し、純潔の化身ともされ浮いた話はありません。
アテネの領有権でポセイドンと争った時、地面からオリーブの木を生えさせ民意を得たと伝えら、そのためオリーブが神木とされ、アクロポリスのパルテノン神殿は彼女に捧げられたものだと言われています。トロイの木馬や機織りの名人アラクネをクモに変えた神話などもある。●アポロン
(ポイボス)ゼウスとレトの子、神々の中で最も美しい神と言われた。芸術の守り神、竪琴の名人、弓の名人、人間に初めて医術を教えた神、真理の神とも言われる。ポイボスは「輝くもの」の意があり太陽神でもあります。アポロンは最も美しい神と言われながら妻コロニスとの悲劇で代表されるように女性にはあまり縁が無かったようです。二枚目過ぎたのかもしれません。またエロス(キューピット)の金の矢で射られたアポロンが月桂樹になったダフネに恋した神話、ヒヤシンスになったヒュアキントスの神話、予言の力を授けたトロイの王女カッサンドラの神話等はドジなところが実に人間らしい。デルフォイの神殿。 ●アルテミス
(ダイアナ)ゼウスとレトの子、アポロンと双子で生まれた女神。森と狩りを愛し純潔を愛する処女神。気性激しく、残忍性も持っています。アクタイオンがシカにされたのも彼女の無慈悲なまでの残忍性でしょうか、神話の中では、月の女神セレーネ(ルナ)や闇の女神ヘカテと同一視されます。
狩りを楽しむ女神のお供にカリストがいます、あのおおくま座になったカリストです。またトロイ戦争にも大きく関わり、総大将アガメムノンの娘イフィゲネイアを生け贄に供すように神託を出したのもアルテミスです。●アフロデティ
(ウェノス)誕生は、ウラノスがクロノスに男根を切られた時これが海に落ちこの時の泡の中から生まれたと言われますが、オリンポスではゼウスとディオーネの娘とされています。
美と愛の女神、彼女がいなくては何処にも喜びがないと言われていますが、神話の中では男女の愛に関わる愛欲の女神の感が強くでていて、男女の間では危険な女神でギリシャ神話ではいたるところで関わってきます。水仙に変えられたナルキッソスの神話。テセウスの子にヒュッポリトスがいます、彼はアフロデティより処女神アルテミスを崇拝していたため、義母パイドラと父テセウスの神話が有名。
もっとも美しい彼女が、足の悪い醜男の鍛冶の神ヘパイストスの妻というのも面白い。鍛冶の神ヘパイストス、軍神アレスとは公然の仲だったとされる。ゼウス(他説ではアレス)との間にエロス(クピド、英語読みキューピッド)を生んでいる。エロスは大地の神ガイアが一人で生んだ子との説が有力なので、アフロディテーより先に生まれたことになりますが、神話では母子として扱われています。●ヘルメス
(マーキュリー)ゼウスとマイヤ(アトラスの娘)の子。足に羽のはえたサンダルをはき、風のように速く走る。ヘルメスは亀の甲羅で造った竪琴をアポロンに送り、取り入り、オリンポスで重要な地位を手にいれることが出来たのです。アルカディアのキュレネー山の洞穴で生まれ彼は、その日のうちに揺りかごから出て、アポロンの五十頭の牛の群れを盗み、その日のうちに何ごともなかったかのように揺りかごに戻ったこの顛末を知ったゼウスは機知にとんだ彼をオリンポスへと連れていき、以後ヘルメスは、神々の伝令役として仕えることになった。
現代風に言えば機転のきく営業マンといったところでしょうか。彼は他の神々と同じように女性関係もかなりありますが、問題になるようなことはありませんでした、逆に他の神々のトラブル処理に奔走しています。商業、貿易の守り神。トロイ戦争の英雄オデュッセウスと魔女カリプソを別れさせたのもヘルメスだったな〜。●ヘパイストス
(ウルカヌス)ヘラが一人で生んだ子とされるもゼウスとヘラの正当な嫡子、完全で美しい神が多い中で、彼だけがびっこで醜かったと言われ、仲間の神からも尊敬されることはなかった。醜かった彼は捨てられますが、アキレウスの母、海の女神テティスの元で成長し、地下の工房で鍛冶の技術を得ます、これが彼にとってオリンポスでの地位を確かなものにしました。
トロイ戦争の英雄アキレウスに新しい武具を造ったのもこのヘパイストスです。火と鍛冶の神。二人の母を怨むことなく、誠実に生きる姿が素晴らしい。飽食の時代に生きる日本人に見習ってほしい神の一人です。12神の他にも、愛の神エロス、人間を創った神プロメテウス、音楽の守り神ムーサイ(ミューズ)達、ネレイスの娘達の水のニンフ、野や山には男神サチュロス、パーン、シレノス、森に住む妖精ニンフ、また神と人間との間に生まれた英雄達、彼らは星座に関わる神話でも大活躍します。
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